依頼内容:車両同士の交通事故が発生した際に、相手の車両が動いていることをドライブレコーダーの映像から証明したい。
解析結果:ドライブレコーダーの映像を鑑定した結果、相手方車両がわずかながら事故当時に前方に動いていた事が証明できました。
今回のご依頼は、交通事故が発生した際に、相手方の車両が動いていたか停止していたかが論点になっている裁判継続中の事案であり、それによって今後の結果に大きな影響が出るため、事故発生時に相手方の車両が動いていたか、停止していたかをご依頼者様の車両に取り付けてあったドライブレコーダー映像から鑑定して欲しいとのご依頼内容になります。
お預かりしたドライブレコーダーの映像を確認した所、普通に見ただけでは相手方の車両は完全に停止しているように見えており、また映像の画質もあまり良くないこともあり、このままでは相手の主張である事故当時は車両が動いていなかった事が証明されることになりますので、事実確認を正確に把握しておきたいとのご依頼者様が強いご希望をされています。
その為、映像解析を行い、相手方の車両が動いていたのか、動いていなかったのかを解析していくことになった訳ですが、依頼者様の車両が走行している前方に、相手方の車両が見えるようになってから実際に衝撃音が発生するまでの間に記録されている相手方車両及びその周辺の道路や背景を見る限りでは、相手方車両は停止しているように見えないわけではありません。
また、衝突までの間に記録されている相手方車両は、相当小さく不鮮明に記録されている部分も多く、今回の鑑定方法として動画のサイズを32倍に拡大して1フレーム単位で再生し、色分解の技術を使って1ピクセル単位で色濃度を鑑定していくことにより、相手方の車両が映像に記録されている期間、動いているのか動いていないのかを鑑定していくことになります。
その結果、相手方車両は僅かながら動き続けていたことが判明し、その鑑定結果を記載した鑑定書を発行することになり、結論から言えば、相手方車両が事故当時に動いていた結論で鑑定が終わったかに見えたのですが、相手方からの反論があり、車両に写り込んでいる電柱の影が動いていないため、車両は動いていないとの主張がここで発生することになります。
その為、今度は、相手方車両に写り込んでいる電柱についての鑑定を行うこととなったのですが、鑑定の結果、相手方が主張しているこの電柱の影は実際にはドライブレコーダーが記録する際に発生するシャドーノイズであり、実際の電柱の影は相手方車両が前方に動いていた為、既に相手方車両に映り込む状態ではなかったことを証明することになりました。